2018年 水声社
山田久美子
1953年、東京都生まれ。
上智大学フランス語学科卒業。広島大学大学院英語学英文学専攻博士後期課程中退。アイルランド国立大学ダブリン校英語・演劇・映画研究専攻博士課程修了。博士。専攻:アイルランド文学、日米欧文化交流史。
本書はジェイムズ・ジョイスの晩年の傑作『フィネガンズ・ウェイク』における、日本および東洋文化との関わりを多角的に分析した研究書です。
ジョイスはトリエステやパリといった多文化都市で東洋文化、日本文化、そして多言語との接触を経験しました。これらの体験が、彼の作品に潜む言語の多様性や象徴性の形成に影響を与えています。本書ではさらに、イエズス会の宣教、フェノロサの漢字論、エズラ・パウンドの夢幻能など東洋の文化から『フィネガンズ・ウェイク』を読み解いていきます。
また、日本語や東洋の影響の具体例として、言葉遊びや暗喩、自由連想など、多言語的遊戯の要素が『フィネガンズ・ウェイク』に組み込まれ、日本語や東洋文化のリズム・音感の影響が認められるという点を挙げています。
歴史的・文化的背景を重視し、ジョイスの作品を単に文学作品としてではなく、言語、文化、思想が交差する多面的テキストとして分析し、ジョイスの体験や知識の循環的影響から作品内に現れる東洋的要素の多層的意義を明らかにした1冊です。




