2007年 世界思想社
阿久津昌三 (1954-)
信州大学教育学部教授。博士(社会学)。1979年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1985年慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1988年より信州大学講師、助教授を経て、2006年より現職。
西アフリカ・アサンテの王権研究は、英文学におけるシェークスピア研究にも例えられ、本書では、フレーザーの『金枝篇』以来、イギリス社会人類学が積み上げてきた歴史と蓄積の上に、四半世紀にわたるフィールドワークの成果を追加した集大成的大著です。アサンテ王国を中心に、王権と祭祀の結びつきを民族学的に分析し、王権は単なる政治的権力ではなく、宗教的・儀礼的秩序と不可分であり、王は「聖なる存在」として共同体の秩序を体現することを明らかにしています。王母や祖先崇拝の役割を含め、王権の正統性が儀礼を通じて再生され続ける構造を明らかにした民族学的集大成です。




