2007年 みすず書房
ムンク(1863-1944)
ノルウェーの画家、版画家。
愛と死・孤独・不安などのテーマを象徴的に描き、表現主義の先駆をなす独特な色彩・構図で、人間の不安・孤独を示す象徴的作品を描いた。主題・表現の上で現代美術の流れに大きな影響を与えた。代表作に「叫び」など。父はかなり異常な性格の人であり、早く母と姉を結核で失い、彼自身も病弱であった。こうした環境と肉体が、彼の精神と作風に大きく影響している。
著者:スー・プリドー
イギリスの小説家、美術史家。
イギリスに生まれ、ムンクの後見人で肖像画にも描かれた大叔母の国、ノルウェーで洗礼を受ける。フィレンツェ、パリ、ロンドンで美術史を学んだ後、小説を書き始め、これまでにもうひとつの故国ノルウェーからインスピレーションを得た作品を多く執筆している。
幼い頃よりムンクの絵に親しんだ美術史の専門家である著者が、膨大な量の資料を読み込み、愛情あふれるこまやかな筆致のもとに書き上げた、ムンク伝の決定版。ムンクが残した日記・手紙を読み解くのはもちろん、その時々でのムンクの愛読書を筆者も同様に読み込み、ムンクという人間の思想への理解を深めた内容になっています。
20世紀初頭の退廃的ヨーロッパに生き、作品により孤独を産み落としつづけた画家の決定版伝記です。